フォト・動画の「白飛び、黒つぶれの要因と対策方法 / ヒストグラム活用」

露出が適正な写真2

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カメラ撮影で誰もが経験し、悩ましい問題である白飛び、黒つぶれ。ここでは要因と対策についてご案内します。デジタルカメラのヒストグラムを活用した効果的な対策方法。

白飛び、黒つぶれってどういうこと?

白飛びとは、被写体が白く飛んでしまう現象。白い服や車、白い雲など、ハイライトの強い場面で起こりやすいのが特徴。

白飛びが多く発生している写真

黒つぶれとは、被写体が黒くつぶれてしまう現象。日陰などのシャドー部分で起こりやすいのが特徴。

黒つぶれが多く発生している写真

白飛び、黒つぶれが起こると、正確な色味の再現が難しくなります。撮影時にはこの現象が生じないように露出の扱いを意識します。なお、完全に白飛び、黒つぶれした部分は後からレタッチしても復元することはできません。撮影時の露出設定がいかに大切かということです。

とは言え、意識したところでカメラの背面液晶を見て細かな階調まで判断するのは、はっきり言って難しいです。撮影時には背面液晶で確認しながら撮影してもその時はいい感じに撮れているように見えても、いざ持ち帰って大きな画面でみると白飛び、黒つぶれしていた…なんてことはよくあることです。

そもそもカメラの液晶画面だけで判断するのも難しいのに、天気の良い日中ともなれば、さらに背面液晶は見づらくなります。そんな環境の中で、白飛び、黒つぶれの有無を見極めながら完璧な状態で撮影するのは不可能と考えます。

ヒストグラムを活用する

そこで「ヒストグラム」の出番です。カメラにはヒストグラムの表示機能がありますので、撮影中は表示させるように設定することをお勧めします。

ヒストグラムの見方が分からないという方にはこの後で説明しますが、大まかな見方が分かれば白飛び、黒つぶれの有無が簡単に判断できるようになります。美しい画を撮影にするために、とても大事な要素となりますので是非活用してみてください。写真の液晶画面の右側にグラフが表示されていますが、これがヒストグラムです。

デジタルカメラのヒストグラム

まずは下のグラフ(ヒストグラム)をご覧ください。

ヒストグラムは画像の明るさの分布(明暗の傾向)を山なりのグラフで表したものです。

水平軸は明るさのレベルを示し、左方向ほど暗く、右方向ほど明るくなります。垂直軸は各明るさの画素の登場回数を表しています。グラフの分布状態を見ることにより、露出の判断の参考にすることができます。シンプルに言えばこれだけのことです。

なお以下のヒストグラムはRAW現像ソフトで表示されているものを載せていますが、基本的にはカメラのヒストグラムと同じ結果となります。

ヒストグラムデータ比較

では、このグラフから白飛び、黒つぶれがおきていないかを、どのように判断するかということになります。何となくお分かり頂けたと思いますが、黒つぶれしている可能性が高いのはグラフの山が左側に張り付いている場合(下のグラフの露出アンダー傾向時)。

逆に白飛びしている場合は右側に張り付いている状態(下のグラフの露出オーバー傾向時)。理想はグラフの適正ような、左右の両サイドの壁に山がかからないようにすることが望ましいです。なお、適正のようにグラフが綺麗な山になるものが必ずしも良い写真というわけではありません。

逆光や暗闇、明暗差の激しシーンではこのヒストグラムが綺麗な山にならず、白飛びや黒つぶれが起こりやすくなるため、ヒストグラムを確認していたとしても回避するのが難しい場合もあります。そういった場合には、撮影する角度、向き、位置などを少しだけ変えたり、レフ板や照明を使うのも良いでしょう。このようにヒストグラムを利用することで容易に対応できるわけです。

必ずしも白飛び、黒つぶれは悪ではない

なお、必ずしも白飛び、黒つぶれは悪か言われると、そうではでありません。シーンによってはあえて被写体を際立たせるために白飛びさせたり、被写体をわざと黒つぶれさせ影として表現し美しい背景を際立たせるなど…ドラマチックな演出にも使われます。問題なのは意図しない白飛び、黒つぶれが問題であり、結果的に写真や動画のクオリティに影響するということです。

露出アンダー 意識的な黒つぶれ

ダイナミックレンジについて

ダイナミックレンジとは、デジタルカメラで表現できる階調幅を指します。ダイナミックレンジが広ければ、白飛びや黒つぶれが起こりにくくなります。この階調幅はセンサーの大きさに合わせ変化します。大きなセンサーを搭載したデジタルカメラほど、階調幅は広く、白飛びや黒つぶれにも起こりにくくなります。センサーサイズが大きい方から「中版型⇒フルサイズ型⇒APS-C型⇒4/3型(マイクロフォーサーズ)⇒1型⇒1/2.3型(スマートフォン等)」となります。

また、一方で、このダイナミックレンジを補正する機能がデジタルカメラには搭載されています。それが階調補正機能(メーカーにより名称が異なる)です。この機能をONにすることで白飛びや黒つぶれが軽減できます。強弱で設定も可能なため、通常は「標準」に設定しておくと良いでしょう。

RAW撮影で白飛び、黒つぶれ対策

ちなみに、少しでもグラフの山が両サイドにかかっていると白飛び、黒つぶれが起こるのか? 本来、少なからず階調があるはずの部分がすべて白(黒のつぶれの場合は、黒)で表現されてしまった状態のことですので、RGBデータ(jpeg)で出力された画像に関しては、その可能性もあると考えられます。

露出が多少オーバーしているヒストグラム例

ヒストグラムを確認しながら、なるべく階調を残こした撮影を意識していくことで、少しずつ感覚的なものが身について、撮影のスキルも上がっていくことでしょう。

とは言え、すべてのシーンで完璧に撮影することは困難であり、なるべくなら少しでもリカバリーできるといいですよね。そこでRAW撮影となるわけですが、これは撮影後にPCの現像ソフトで編集することが前提となります。現像ソフトは自分好みの色味や風合いで仕上げることができるのもメリットです。

RAWについては、詳しいことは別の機会に書くことにしますが、簡単に説明すると、通常、デジタルカメラ撮影はJPEGの画像ファイルが出力されるJPEG撮影が一般的です。これはカメラのメニュー(カラーモードも含む)で設定されたものがカメラ内部の画像処理回路で変換され書き出されています。

一方、RAW撮影は撮影時のカメラ設定と光の情報を別に保持しています。もう少し詳しく言いますと「露出ゲイン、ホワイトバランスゲイン、トーン、色変換テーブルなどの付帯情報」と「ベイヤー情報(階調データ)」を別に保持しているということです。このデータをPCの現像ソフトで好みの画に編集し出力するわけです。JPEG撮影でもこのRAW撮影と同じようにこれらの情報は使われているわけですが、RAW情報をもとにカメラ内で現像しRGBデータ(JEPG)に変換され出力しているため、JEPGは情報が間引かれた(圧縮された)状態となります。

もう、おわかりかと思いますがRAWは現像前のデータですので、JEPGに比べ多くの情報をもっているため、ヒストグラムで見るとレンジ幅からオーバーしているものでも、実際はダイナミックレンジ(階調幅)に余裕があるため、白飛び、黒つぶれのリカバリーもできるわけです。

ただし、前述のように完全に階調を無くしたものはRAWでも復元することができませんので、撮影時の露出が大事だということに変わりはありません。

RAWデータで露出補正

この例では、撮影時に、露出オーバーしている状態にしています。白飛び、黒つぶれが発生しているようなショットです。これをRAW現像ソフトで露出を下げ、一見、白飛びしているように見える部分を復元できるかテストした例です。露出修正後の写真を見る限り白飛びは起きていません。ヒストグラムを見ても、階調データは生きているように思われます。

フォトではRAW撮影も一般的になっていますが、動画撮影に関しては、SIGMA fpの様にRAW撮影できるカメラは、まだまだ少ないのが現状です。

その代わり?という言い方が正しいか分かりませんが、LOG(ログ)撮影ができるカメラが各メーカーから出ています。LOG撮影もRAWと同じように撮影後にレタッチすることを前提とした撮影となります。通常の撮影に比べ、より広い「色域」「ダイナミックレンジ」「階調」の映像情報を記録することができますので、白飛び、黒つぶれ対策にもプラスになる撮影方法です。

経験や知識の浅い方には少々小難しい内容になってしまったかもしれませんが、カメラ撮影時のヒストグラムを使うことは画のクオリティを上げるうえで、便利な機能であり、RAW、LOGでのレタッチの際にもこのヒストグラムは登場し同様の考えで活かせますので、しっかりと覚えて活用することをお勧めします。